神保町日記
今日は終業後品川に向かい、ホテルラフォーレ東京で開かれた海人Expedition「サバニ帆漕航海」フォーラム'04に出席した。
サバニと沖縄の伝統的な帆船で、この船を使い沖縄から宮崎県の日南市までの1000kmの距離を黒潮に乗って航海したのだ。このときの様子をスライドと映像を交えて解説してくれたのだった。スライドショーはサバニのクルーであり、西伊豆コースタルカヤックスの代表である村田さんが担当した。村田さんからはこの航海のことを話では聞いていたのだが、実際に写真を交えて説明されると、サバニの持つ潜在能力の高さに驚かされた。時には台風の余波を受け、6mの荒波の中を進むサバニ。伴走船が付いているとはいえ、そのときの緊張感と恐怖は、写真や映像から十分に伝わってきた。
この航海の船長であり、フォーラムの主催者である荒木汰久治さんは、プロのオーシャンアスリートで、ハワイで競技に参戦するかたわら、地元の葉山ではアウトリガーカヌークラブジャパンのキャプテンを務めている。
フォーラムの最後に荒木さんのトークショーがあり、サバニでの航海を通じて感じた、海との関わり方、これからいかに充実した人生を送るか、というメッセージが伝えられた。
“Start living healty”が荒木さんの信条だった。
今回の航海は実は下見的なものであり、来年、沖縄から愛知県までを現代の航海器具を一切使わず、星の位置だけを頼りに航海するスターナビゲーションという方法で航海する。これもまた、胸のときめく旅なのである。
フォーラム終了後、西伊豆コースタルカヤックスのスタッフや常連のカヤック仲間たち、そしてこのフォーラムに参加していたアルガフォレストの柴田さんたちと品川駅前の居酒屋で打ち上げを行った。
打ち上げ終了後も、村田さん、柴田さんたちと別の店で朝の4時まで3次会。そういうわけで、現在朝の6時。う〜ん、全然“Start living healty”じゃないぞ。
アテネ・オリンピックが終わった。始まる前はさほど強い関心を持っていたわけではなかったのだが、始まってみれば連日見どころ満載で、ずいぶんと楽しませてもらった。これで深夜のテレビ観戦から解放されるのは、ほっとする反面、少し寂しい気もする。
先週の後半は夏休みを取っていたので、今日は6日ぶりの神保町。職場の机の上には休み中にたまったFAXや書類が山積みになっていた。コンピューターを起動させれば、メールボックスにはこれまた山のような受信メールが。午前中はこれらの書類やメールの処理に忙殺される。
昼休みは久々の書店めぐり。書泉グランデで新潮文庫の新刊などをチェックしていると「ヒロクマさんですか・・・」と女性に声をかけられた。「まさか俺のファンか!?」と思いその人を見ると、どこかでお会いしたことのある方だった。先方から名のってくれたので、すぐに思い出した。このサイトとも相互リンクを張っている「初心者シーカヤッカーへの道」の運営者、tetsuyakさんの奥様だった。お仕事で神保町にいらしていたのだそうだ。そして、たまたま立ち寄った書泉グランデで、サラリーマンにしては不自然なくらい異常に黒い人がいて、しかも見たことのある顔だったので、勇気を振り絞ってお声をかけていただいたらしい。海では何度かお会いしたことは会ったのだが、まさか神保町で遭遇するとは思ってもみなかった。思わぬところで思わぬ人にお会いできて、うれしいやら恥ずかしいやら。
アテネでの日本の快進撃は止まりませんね。昨日の北島の2つ目の金メダルに続き、今日は柔道女子78キロ級の阿武が金メダル、そしてアーチェリー男子個人で山本博(41歳)が銀メダル。阿武の金はもちろんすごいのだが、私は山本の銀メダルに感心した。
この人は1984年のロサンゼルスから5回連続(!)でオリンピックに出場しているのだそうだ。これだけですごい。ロサンゼルスでは銅メダルを取ったが、そのとき以来のメダル獲得。しかもより上のランクの銀。普通スポーツは年齢が上がると不利になると思われがちだが、アーチェリーのように集中力と熟練の技術を要する競技は、必ずしも若さだけが有利ではないのだろう。
それにしても70m離れた12.2cmのターゲットに矢を打ち込むなんてほとんど神業だと思う。しかも矢はまっすぐ一直線に飛んでいくわけではなく、放物線を描いて飛んでいくのだから、これは見ていてうなるしかなかった。こういう職人芸的な競技も見ていて面白い。
そうこうしているうちに、時間は今日も午前3時。
昨日までは比較的過ごしやすい日が続いていたのだが、今日は久々に凶悪な暑さがぶり返してきた。
アテネオリンピックは、日本勢が連日の金メダルラッシュで盛り上がっている。昨日も同僚たちと飲みに行った新宿の店で、柔道女子63キロ級のテレビ中継を放送しており、谷本の金メダルの瞬間を見てみんなで盛り上がっていた。
帰宅後も何だか目が冴えてしまい、卓球の福原愛の試合を見る。愛ちゃんのポイントを決めたときの「ターッ!」と言う気合いがやたらと耳に残るようになってしまった。その後「木更津キャッツアイ」の再放送が深夜枠で始まったので、それも何となく見てしう。今見ると結構荒削りなところはあるが、やはり面白いドラマだ。結局寝たのは4時過ぎ。おかげで今日は寝不足で出勤。こういう人は世の中にいっぱいいるんだろうな。
オリンピックが盛り上がると、日本の景気が上向きになるという統計もあるようだが、出版業界的には必ずしもそうとは言えない。
書店に行けばアテネオリンピックを特集した雑誌や増刊号、ムックなどがたくさん並んでいるが、売れ行きの良いのは放送スケジュールをきっちり載せている観戦ガイドなど一部のものだけのようだ。
また期間中は、みんな深夜での放送が多いため、スポーツ新聞の需要が高まる一方、雑誌の売れ行きは鈍る傾向がある。だからと言ってオリンピック速報の雑誌を出そうとしても、ネットのスピードにはかなわないし、雑誌にとっては厳しい状況なのである。
待ちに待っていた本が出た。「日本の島ガイド SHIMADAS(シマダス)」。1993年に創刊され、その後何度か版を重ねたが、1998年の刊行以降、しばらく発売がなかった。さすがにこんなマニアックな本は、編集も大変だし、採算もそれほど取れるとは思えないからもう出ないのかな、と思っていただけに、今回の新版の刊行はうれしかった。
この本には日本の有人・無人島が1000島以上紹介されている。島の周囲、面積といった地理的情報から人口、主要産業、歴史まで、よくぞここまで調べた!というくらいの情報がびっしりと記されている。
基本的な構成は1998年版と同じだが、各島の情報は最新のものに更新されている。そのことを示す一例として、昨年の那覇〜渡嘉敷島横断の際に立ち寄った前島についての情報がある。この島は昨年まで無人島だったのだが、昨年の後半から今年にかけて4人の住民登録の申請があり、現在は人が住んでいる。その情報もしっかり書き込まれていた。これには正直びっくりした。決して手を抜かない情報収集のきめの細かさを感じた。
この本を発行している財団法人日本離島センターは、私の敬愛する宮本常一氏がその設立に深く関わっている。宮本氏は「離島の慈父」という尊称を奉られているように、離島振興法の成立に寄与している。そして日本離島センターの前身である、昭和28年(1953年)に結成された全国離島振興協議会の初代事務局長を務めたのも宮本氏だった。この辺りの経緯は、佐野眞一氏の「宮本常一が見た日本」に詳しいので、興味のある方はぜひご一読を。
宮本氏の師である渋沢敬三氏が「宮本くんの足跡を日本の白地図の上に赤インクで印していくと、日本列島は真っ赤になる」と言うくらい、宮本氏は日本という国を徹底的に探訪した人だった。
その宮本氏のフィールドワークの精神が、この「SHIMADAS」には受け継がれている。単なるガイドブックという以上に、この本の存在価値は高い。日本は島国であるということをあらためて認識させてくれると共に、日本という国の多様性を感じさせてくれる本だ。
今日の新聞は出版業界的に注目すべき広告が多かった。
まず目を引いたのは、バスケットボール漫画の名作「スラムダンク」1億冊突破の御礼広告。作者の井上雄彦氏が朝日・読売・毎日・日経・産経・東京新聞の6紙すべてに全面広告を打ったもの。しかも各紙ごとにキャラクターが違う。もちろんすべて描き下ろしだ。ちなみに朝日は流川楓、読売は桜木花道、毎日は三井寿、日経は赤城剛憲、産経は宮城リョータ、東京が小暮公延となっている。どれもラフなスケッチ風に描かれているのだが、とても格好よく、思わず6紙全部買って保存したくなるような出来だ。実際そうしているファンは多いのではないだろうか。
スラムダンクを知らない人には何のことだか分からないだろうが、それでもすごいインパクトのある広告だ。
コミックスで累計1億冊というのもすごいが、その御礼広告をしかも全国紙に全面広告で打つというのは出版史上初の快挙だろう。広告費はすべて井上氏個人が出しているそうだ。太っ腹!
自らもバスケットボールフリークの井上氏は、現在週刊ヤングジャンプで不定期連載ではあるが、「リアル」という身体障害者(この言葉は嫌いだが便宜上止むなく使用する)の車イスによるバスケットボールを題材にした作品を描いている。現在コミックスで3巻まで刊行中。身体障害者という非常にデリケートな題材を扱いながらも、繊細な心理描写と、井上氏ならではのシャープなバスケットシーンは読みごたえがある。地味で暗くなりがちなテーマを熱く感動的に描いている井上氏の手腕はさすがだ。ここにもバスケットボールに対する愛情があふれている。それにしても「スラムダンク」第2部を描いてくれないかなあ。
もうひとつは朝日新聞に載っていた「文藝春秋」9月号の広告。先日芥川賞を受賞したモブ・ノリオの「介護入門」が全文掲載されていて、それを大きくうたったものだ。スペースは全面広告+5段。L字型にスペースを取ったレイアウトが目を引いた。
これは、今年の上半期に最年少で芥川賞を受賞した綿谷りさ・金原ひとみの作品が掲載された号が、増刷のかかる売れ行きだったため、それと同じような効果を狙ったのだろう。確かに単行本になるのを待つより早く読めて、しかも単行本よりは安いはず。この作品が気になっている人なら手を出すだろう。私はこの作品が気になる1人だったので買ってしまった。
最年少コンビほどのインパクトはないだろうが、テーマと作家のキャラクターがユニークなので、どれくらいの反響があるのか楽しみだ。
あとひとつ、これは不名誉な広告。小学館の「小学6年生」9月号についてのお詫びと回収依頼についてのものだ。この号のEメール特集に掲載されたいたウェブサイトにアダルト系のサイトが含まれていたためだった。どういうサイトか確認してから載せるべきだろう、と思いながらその「小学6年生」を見てみる。するとサイトのトップページがカラーで掲載されていて、アダルトページに入っていけるメニューのところだけ塗りつぶされていた。ということは、編集部は分かっていて載せたのだろう。これは批難されても擁護のしようがない。
いつものごとく昼休みに書泉グランデで新刊本をチェックしていたとき、思わず「うぉっ!」と声をあげてしまった。待ちに待ったあの作家の新作が並んでいたのだ。
その作家とはスティーヴン・ハンター。タイトルは「ハバナの男たち」(扶桑社ミステリー)。スワガー・サーガの最新作だ。前作「最も危険な場所」から2年ぶりの新作。ハンターはもっとも新作の刊行が待ち遠しい作家の一人。これまでに邦訳された作品はすべてよんでいるが、どれをとっても外れがない。正統派冒険小説を書ける、数少ない現役作家のひとりだ。この夏の読書の大きな楽しみができた。
勢いで今日はケム・ナンの「源にふれろ」(ハヤカワ文庫)と、アン・モロウ・リンドバーグ「海からの贈物」(新潮文庫)も買ってしまった。「源にふれろ」はサーフィン小説なのだが、帯に書いてあった北上次郎の「切ない小説だ。胸がキュンとなる小説だ。」という言葉に惹かれてしまった。「海からの贈物」の著者は、名前から分かるように、史上初の大西洋単独横断飛行を行ったリンドバーグの奥さんだ。彼女のプロフィールと、離島での生活を綴ったエッセイという点に惹かれた。
レジだ代金を支払うと、お釣りといっしょにスクラッチカードをくれた。銀の部分を削って50円という表示が出てくると、50円券として書泉で使えるようになっている。今回は3枚もらったが、3枚とも50円の表示が出た。
書泉では、以前期間限定で1000円購入ごとに50円の割引券を配付したことがある。そのときは「事実上の値引きで、再版崩しじゃないか」と業界団体から指摘され、途中で中止したことがあった。今回は、そのときのこともふまえて、当たりはずれがあるような仕組みにしたのだろうが、多分ほとんどは当たりなのではないだろうか。
今回も再版違反だと指摘されるかもしれないが、読者の側からすればうれしい企画だ。期間を区切って行うのであれば、これくらいは許容範囲だと思う。書店に客を呼ぶ努力のひとつとして、割引券やポイントカードの導入については、そろそろ柔軟に対応していい時期だとは思うのだが、そうはすんなりいかないのが出版業界だ。
【今日のおすすめの1冊】
ジョン・クリード「シリウス・ファイル」(新潮文庫)
最近は面白い冒険小説に出会うことが難しくなってきたが、久々に大興奮の作品に巡り会えた。
1997年、イギリスの秘密情報部MRUに所属するジャック・ヴァレンタインに下された任務は、1972年に北アイルランドへパラシュート降下した工作員の死体を見つけだし、その所持品だったファイルを持ち帰れというものだった。
一見容易な任務に思われたが、その目的は告げられない。背後にキナ臭さを感じながらも、ジャックは任務を遂行するため、自前のトロール漁船でアイルランドへと向う。
任務遂行の過程で、かつての親友だったIRAの闘士リーアムと再会する。彼は裏切り者として、IRAの暗殺部隊に追われていた。また彼の妹で、恋人だったディアドラとも再会し、アイルランドでの苦い記憶が甦る。
目的のファイルの回収には成功するものの、同じものを探していたアメリカ人の集団に襲撃され、追われることになる。またそのファイルの秘密を知ってしまったジャックは、自分の属するMRUからも追われることになる。これにリーアムを狙うIRAの暗殺者も加わり、1対3の過酷な追撃線が始まる。
プロット自体は、決して真新しいとは言えないが、秀逸なのは追撃戦の描写だ。特に嵐のノース海峡での追跡劇は、海洋冒険小説史に残る迫力。普通なら絶対に出港できない大嵐の中、敵の追撃を振り切るため、主人公達は小さなトロール船で荒れる海へと出てゆく。傷付いた男たちが傷付いた船を修理しながら、敵の襲撃を交わし、生き残りをかけて突き進んでゆく様子は、自分もずぶ濡れになり、船酔いに耐えているように錯覚するくらい臨場感がある。
ラスト、辿りついた島の原野での、追っ手たちとの真っ向勝負は、西部劇の決闘シーンを彷佛させる緊迫感のある名場面だ。男の誇りと信念をかけた気迫がびしびし伝わってくる。こういう男気あふれる場面は、久しく読んでいなかったので、ページを繰る手にも力が入った。
すぐれたスパイ/冒険/スリラー小説に贈られる、英国推理作家協会の第1回スティール・ダガー賞受賞作というのは大いにうなづける。映画化も決まっているそうで、あの迫力ある嵐の追撃戦がどう表現されるのか、今から楽しみだ。
今年のエンターテインメント小説の中では絶対に外すことのできない1冊。冒険小説ファンなら必読だ。
先月は観測史上平均気温の最高値を記録したそうだ。もう十分夏を満喫しました、という気もするが、やっと8月だ。何だかな〜。
今日は都内の某漫画専門店の仕入担当者が来社した。最近の売れ行き動向の話になり、売れる条件としては如何に女性客を取り込むかが鍵だ、という点で意見が一致した。これは漫画に限ったことではなく、どんな商品であれ、経済的判断の厳しい女性客に買わせることができれば、ヒットに結びつくということだ。
実際その漫画専門店でも、女性客が増え始めた商品はヒット作になるようだ。
一方で女性ファンは、見限るときは実にあっさりと打ち捨ててしまう。その点男性ファンは、「最近いまいちだな〜」と思いながらも結構律儀に買い続けてくれたりする。
恋愛において、女性はあっさりとふるのに対して、男性はいつまでも初恋の人の影を引きずるようなもんだな、と好き勝手なことを話していた。
カヌーライフの最新号を買い忘れていたことに気付き、本日購入。三陸の特集ページと琵琶湖のエリアガイドに、よく知っている人たちが登場していた。最近、カヌー関係の雑誌を見ると、必ず知っている人が出ているようになってきた。まだまだ狭い世界なのである。
ちなみにエリアガイドの琵琶湖北西部は、6月に行ってきたのと同じ場所だ。このサイトのツーリングレポートにも載っているので、興味のある方はぜひ一読を。