6月5日 木曜日 曇
梅雨の季節だった。
空も曇ってて、雨が降りそうな色をしてた。
PM5:53、オレ達兄弟はやっとセントラルに着いた。
汽車を降り、駅から出るといつものようにムカツクぐらい爽やかな顔で笑ってる奴が待ってる。
「あ、大佐。お久しぶりです」
ああ!アル!せっかく無視して通り過ぎようと思ったのに……!
「やあ、アルフォンス。おや鋼の、背が少し縮んだか?」
「だあああ!うっせぇ!!だいたい大佐!あんたはなんでいつもオレが帰ってくると駅で待ってんだよ!?」
ああああああムカツク!!!コイツの顔見てると虫唾が走る!!
「まったく、がっかりだな。せっかく君の事を心配していつも来てやっているというのに」
「〜っ!てめーの吐くセリフはいつもくせえんだよ!!」
そう言ってオレは大佐の顔に殴りかかったが、軽くかわされてそそくさと逃げられてしまった。
結局今日は陽も暮れてたから報告は明日にして、そのままホテルまで戻ることにした。
6月6日 金曜日 曇のち雨
早速オレは中央司令部に行って報告書を出そうと大佐の部屋に向かった。
ノックをして部屋に入ると、予想通り大佐は中尉に見張られながら仕事をしていた。
「あら、エドワード君今日は早いのね。ちょっと私は今から用事があるから、それまで大佐を見張っといてくれる?」
「あ……うん」
そう言って中尉は部屋から出て行ってしまった。
……二人きりになった。
どうする?何話そう?
ヤベェ、マジ気まずい。
と、とりあえずなんか話さなくちゃ……
「そ、そうだ!今日は報告書出そうと思って来たんだった!ほら大佐報告書!!」
そう言ってオレは報告書を不自然に大佐に向かってブン投げた。
うわっ、マズったあ……
「…まったく、君の各地での暴れっぷりはセントラルまで届いているぞ」
大佐はオレの不自然な行動を物ともせず、報告書を眺めながらさっさと話を進めてしまった。
「…で、賢者の石は見つかったのか?」
まだ賢者の石は手に入れていなかった。情報が確かでないところも虱潰しで探しても、結局はデマでまた次の街へと旅立つ。
そうだ。何度もそれの繰り返し。
「…まだだよ。こうやって3年も探していてもまだ見つからないんだ。
近くにあるような気がしても逃げられて、捕まえたと思ったら今度はソイツに蹴り落とされて……。ずっとこれの繰り返しだ」
オレはその日どうかしてたのかもしれない。大佐に弱音を吐くなんて。
「もう……一生このままなのかな」
「…君の覚悟とはその程度だったのか?」
「え………」
大佐はじっとこっちを見ながらひどく冷めた声で言った。
「私はいつも見ていたよ。君達兄弟が諦めずに探し物を探している姿を。そんな君達をみて心を痛めたこともあったさ。
それでも君達はいつだって弱音を吐いたことはなかった。誰かに頼ろうともしなかった。」
それでもやっぱり、甘えたい時だってあるんだ。
誰かの胸に飛び込んで「すごく辛かったんだ。すごく苦しかったんだ」って、思いっきり泣きたい時だってあるんだ。
まだオレは……強がりで、天邪鬼で、甘えん坊で、泣き虫な子供なんだ。
「甘えたいのも、泣きたいのもわかる。しかしそれは今じゃない。
身体も弟も全て取り戻したあとだ。君達は今までこうして何もかも我慢してきたじゃないか。君らしくもない」
「オレらしくない……か」
この部屋に来ると不思議と心が落ち着くんだ。また晴れた気持ちで新しい旅へと進める。
その原因はきっとこのすかした野郎と話すからなんだろうけど。
「元気出たか?」
大佐がまた爽やかな笑顔で聞いてきた。
「……礼はいわねぇぞ」
「はいはい」
6月7日 土曜日 曇のち晴
AM9:35、セントラルステーションから汽車が発車しようとしている。
今日は昨日の雨がウソだったかのように雲ひとつない青空だった。
汽車の椅子に腰を掛け、ホームのほうを見るといつものようにムカツクぐらい爽やかな顔で笑ってる奴が見送りに来ていた。
「じゃ、行ってくる」
「ああ、気をつけてな」
もうすぐしたら絶対に全てを取り戻すから。
そしたら真っ先にあんたのとこに行って
勢いよくあんたの胸の中に飛び込んでいって
いっぱい…いっぱい今までの面白い話とか、辛い話とか、朝になるまで聞かして
そして……あんたに優しいキスをして
大きな声で 「ただいま」 って、言うんだ。
汽車が動き始めた。
大佐の姿が後ろに見えなくなっていく。
オレは窓から身体を乗りだし、大佐に向かって思いっきり手を振った。
見えなくなるまで手を振った。
まだ全てを取り戻すまでは時間がかかるかもしれないけど
必ずあんたの元に帰ってくるから。
その日まで……うん、じゃあ………いってきます。
エドの日記風に書いてみました。
ただひとつ問題なのがアメストリスは梅雨の季節が6月あたりなのか不明ってことです。
梅雨もあるかわかんないのに。